「お兄ちゃん、夜に『ドラえもん』のビデオ見たはる」らしい。
(今の『ドラえもん』は『ドラえもん』であって『ドラえもん』でない。)
いい年して、『ドラえもん』って…。
と思っても口にしてはならない。
長男にとって、『ドラえもん』は心の友なのだ。
長男がまだ小さいころ、よく一緒にTVや映画を観た。
どんなに機嫌が悪くても体調が悪くても、夢中で観ていた。
TV番組を取りだめたビデオは宝物のようだった。
私が忙しいときには、子育てのヘルプの役割もしてくれた。
(ビデオに子育てをさせるなんてよくないことだけど)
そんな長男だが、小学校に入学して、
最初の担任の先生との個人懇談の時、言われた言葉を今でもよく覚えている。
「なんていうか、[夢見るユメオくん]のようですねえ……」
それってほめられてるの? じゃないよね…。
あんまりいい気がしなかったのは確か。
何も懇談で『ドラえもん』の話をしたわけじゃない。
のんびりしていて性格の優しい子だと自負していたけど、
それだけじゃダメなのかな?
って、まだまだ母親として未熟だった私は、あの頃悩んだ。
もっとガツガツしなくちゃだめなの?
『となりのトトロ』も大好きで、いまだにジグソーパズルを額に入れて、部屋に飾っている。
現実に打ち勝つことは、もちろん必要だけど、
いくつになっても、夢みる心も大事だと思うよ。わたしは……。
夢を見られない子どもなんて、それこそ悲しいよ。