あれこれ雑記帳

見たことや感じたことをとりとめもなくその日の気分で書きます。

木綿のハンカチーフ

あの歌が流行った頃、高校生だった私は
東京の大学を目指している同級生と付き合っていた。
きっと近い将来、遠距離恋愛が現実のこととなって
そのうち彼は東京の色に染まり、私のことなど忘れてしまう。
そんなことばかり考えていた。それはとても悲しい想像だった。
一緒に図書館や自習室に通う日々が続き、卒業の春
彼は受験に失敗して浪人生となり、私は希望していた市内の短大に入学した。
落ち込んでいる彼の気持ちを癒すことは私には難しかった。

それでも、一浪で大阪の大学に入学した彼との交際は細く長く続いたが、
(今となってはそう思えるだけで、実は情熱的だったかもしれない)
ひと足もふた足も先に社会人になった私にとって、今の恋愛は何か空虚な気がしていた。

華やかな大人の世界で、私は新しい恋をした。
あの歌も思い出の中に押し込まれていった。
ずいぶんと自分勝手な別れ方をしてしまったことについては
反省もしている。

遠距離恋愛は想像だけで終わったのに、気づいたときは二人の間に大きな隔たりが出来ていた。

今もあの歌が流れると、彼のことを思い出す。
彼もどこかで、少しは思い出してくれているかな?
ひどい奴だったじゃなくて、いい想い出として…
と思うのは虫が良すぎるというものだろうか。

蛇足ながら、TVや雑誌でときどき見かける女性が、彼の妹だったことを
知ったのはごく最近のことである。