あれこれ雑記帳

見たことや感じたことをとりとめもなくその日の気分で書きます。

野球の神様

私が弱い言葉の一つに「野球の神様」ってのがある。
野球はもともと好きな方だったが、息子たちに少年野球をさせたりするほどの
野球一家でもない。
ところが、どういうわけか長男が高校に入って硬式野球をしたいと言い出した。
ゴムボールの軟式でさえ未経験なのに硬式野球が出来るはずがないと思った。
だいたいスポーツとは無縁に近い息子だったので。
(かといって勉強に情熱を注ぐタイプでもない…)
はてどうしたものか…と親が悩む猶予もないまま、本人は入部届を出してしまった。
特に野球に力を入れている高校でもなかったが、即猛練習の日々がはじまった。

野球にはお金もかかると思っていたので、そっちの面でも心配だった。
そんなゆとりはまったくない家計。
一揃い道具やユニフォームを揃えるだけでもけっこうの費用が掛かる。
それですぐにやめられたら…とか考えてしまった。
わが家の財布を顧みず、彼の野球漬けの日々は続いた。
(続くだけでもたいしたもんや、と内心感心はしていたが)

いくら弱小野球部とはいえ、レギュラーはほど遠い。
それでも毎日、道具の手入れだけは熱心にしていた。
スパイクやグラブの手入れ、そしてバットの素振り…。
そんな頃、「野球の神様」の話を聞いた。
「野球の神様」はいつも君を見ているよって…。
だからいつかきっと君に力を与えてくれる。
ベンチでもいい、代打でも代走でもいい、きっとチャンスはやってくる。

神様が本当に彼に微笑んでくれたかは、本人しか分からないかもしれない。
だけど、彼が2年半の間に得たものはきっと大きかったと信じたい。
3年の夏の大会が終わった時、
「野球を続けられたことに感謝する気持ちを忘れてはいけない」
と監督である顧問の先生に教えられ、
どの子も帰宅後、親に感謝の気持ちを述べたようだった。
「野球を続けさせてくれてありがとう」
(「いいえー」とごまかしながらも泣けてくる)
あの時の言葉は今も心に残っている。

きわめて個人的な話になってしまった。
なぜか高校野球には胸を熱くさせるものがある。
甲子園だけが高校野球じゃない。